天井板の詳細設計と施工法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 02:31 UTC 版)
「笹子トンネル天井板落下事故」の記事における「天井板の詳細設計と施工法」の解説
笹子トンネルの天井板は、トンネルの上部に鉛直方向に削孔した場所に、樹脂・硬化剤・骨材からなる接着剤カプセルを装填したうえで孔内に接着系アンカーボルトを打設し、このボルトで天井板をつり下げるという施工法が取られていた。この施工法には、接合部の削孔が鉛直方向であるため荷重が分散されないこと、天井板の荷重を接着剤のみで支えている構造であることなどの問題が指摘されている。2006年に米・ボストンで起きた同様の事故との類似性から、使われている接着剤の特性を設計側と施工側、双方が把握していなかったことも指摘された。 笹子トンネルの設計では、ボルトは1本あたり4トンの荷重に耐えられ、仮にボルトを下に引っ張っても抜ける前にボルト自体が折れるようになっているはずだった。しかし、2013年2月1日に発表された国土交通省の検査結果によれば、事故の起きた笹子トンネル上り線のうち崩落していない区間で183本のボルトに対して強度検査を行ったところ、実際には113本が4トン未満の荷重で抜け落ち、うち16本は天井板やつり金具を支えるための平均荷重1.2トンに耐えることもできない状態だった。この検査結果では接着剤の経年劣化以外にも、そもそもの接着剤が不足していたことなどが指摘されている。
※この「天井板の詳細設計と施工法」の解説は、「笹子トンネル天井板落下事故」の解説の一部です。
「天井板の詳細設計と施工法」を含む「笹子トンネル天井板落下事故」の記事については、「笹子トンネル天井板落下事故」の概要を参照ください。
- 天井板の詳細設計と施工法のページへのリンク