大気と鉄の雨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 05:06 UTC 版)
2019年にラ・シヤ天文台に搭載されている高精度視線速度系外惑星探査装置(HARPS)による観測でWASP-76bの大気にナトリウムが含まれていることが判明した。 2020年には、超大型望遠鏡VLTによる観測でWASP-76bの昼側の大気から大量の鉄蒸気が検出されたことが、ジュネーブ大学の研究チームによって発表された。また、この鉄蒸気はWASP-76bの昼夜の境界のうち、「夕方」側にあたる境界でのみ検出されている。WASP-76bでは、潮汐固定により昼側と夜側の温度差が1,000 ℃以上あることで昼側から夜側へ18,000 km/h(5 km/s)という猛烈な風が発生している。この風により、高温の昼側にある鉄蒸気が「夕方」の境界を超えて低温の夜側に移動され、そこで凝縮して「雨」となって降ることで、もう片方の「朝」側にあたる境界では鉄蒸気が検出されなかったとするシナリオが最も可能性が高いとされている。研究チームを率いたDavid Ehrenreichは、雨として降った鉄は大気循環を介して昼側の面で再び鉄蒸気となり、WASP-76bではこのような「鉄循環」が永続されているだろうとも述べている。
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