大型生物への攻撃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/16 07:19 UTC 版)
イカなどを常食とするが、自分よりはるかに大きい動物をも攻撃し、生きたまま体表の一部の肉を削り取って食べるという特異な生態を持つ。すなわち獲物の体表に噛み付き、体を回転させることで肉塊を食いちぎる。このとき、まるでディッシャーで掬い取ったようにきれいな半球形に窪んだ傷跡ができる。これを可能にしているのは、ダルマザメの口の強い吸引力と下顎の鋭いのこぎりのような形状の歯列である。 餌の対象となるのはカジキやマグロ、クジラ、イルカなど大型の海産魚や海産哺乳類である。ダルマザメの攻撃は、大型の動物に致命傷を与えるには至らずに生き延びることができるので、マグロなどがこの独特な傷跡を残したまま市場に並べられることも少なくない。以前はこれがダルマザメによるものだと分からず、市場関係者や研究者を悩ませていた。 サメとしては小型の体格でありながらも、自分よりも大きくて力の強い大型の動物から食物を得ることができるダルマザメの戦略は、餌の少ない深海という環境に適応した一つの手段と言える。上述のように大型動物を攻撃しても致命傷を与えるに至らないので餌の枯渇を招くこともないためダルマザメにとって非常に有効な戦略といえる。 なお、イソギンポ科のニセクロスジギンポが似たような食性を持つ。掃除魚と呼ばれるホンソメワケベラに擬態し、掃除屋になりすまして対象者の皮膚や鰭を食い千切る。 マグロなどの有用魚種を食害する他、海底ケーブルや潜水艦に傷をつけるなどの被害が知られている。本種が鯨類の体に着けた傷は、研究における個体の識別において有用である。
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