変額保険を巡るトラブル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/08/31 04:01 UTC 版)
変額保険は日本においてはバブル景気時代の1989年~1991年にかけて、銀行が明治生命保険や大同生命保険などの「変額保険」を個人資産家に紹介し大々的に販売した。この時は地価の高騰で相続税対策が問題となっており、その対策としてというキャッチコピーであった。 大きな運用益を狙うためには保険料を高額に設定することになり、高額の保険料を一時払いするために銀行が土地などを担保に一時払保険料を融資し、保険の運用益で返済を行わせるという仕組みをとった。返済途中で被保険者が死亡した場合、死亡保険金で負債を完済でき、相続税の非課税控除枠が使えることから、死亡時の相続税対策になるとした。 しかし、バブル崩壊後の運用環境の悪化で運用成績が極端に落ち込み、多くの保険契約で解約返戻金が元本割れの状態に陥った。結果として銀行借入の返済が困難になり、担保の土地・建物を競売にかけられて失う例も出た。不動産価格の下落のあおりを受けて担保を差し出しても借入金を賄えずなお返済を迫られる例もあった。そして最低保証のある死亡保険金で負債返済に充てるために被保険者が自殺する例も出て社会問題となった。 契約時、銀行と保険会社が商品のリスクに関する説明を契約者に対して行うのを怠ったとして、全国で訴訟が起された。その多くでは、契約者側の過失もあるとしながらも、販売者側の過失を認め損害賠償を支払う事が命じられた。 このため大手生保では変額保険の取り扱いを撤退し、外資系生保が勢力を伸ばす余地を与えたが、三井住友海上プライマリー生命保険や第一フロンティア生命など投資型保険に特化した国内保険会社も設立されている。
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