基本的なPLLシンセサイザ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/08 06:54 UTC 版)
「周波数シンセサイザ」の記事における「基本的なPLLシンセサイザ」の解説
PLLシンセサイザが実用化される以前(1978年頃より前)は、VFO(LC発振器のコンデンサをバリコンとしたもの)が使われていた。VFOの欠点は発振周波数の精度、安定度が悪いこと、バリコンは機械部品であるため、マイクロコントローラでの制御が困難であることであった。このような欠点がないのが水晶発振器であった。しかし、水晶発振器は周波数が固定であるため、必要な周波数の数だけ水晶振動子を用意しなければならないという、大きな欠点があった。 そこでPLL技術を用いて、1個の水晶発振器(TCXO)でVFOの発振周波数を正確、安定に制御できるようにしたものがPLLシンセサイザである。VFOのバリコンをバリキャップに置き換え(この形態のVFOをVCOと言う)、PLLにより水晶発振器と同じ位相になるように制御(位相比較をおこない位相がずれないように制御する)すると、結果的にVFOの発振周波数も水晶発振器と同じになる。つまり、VFOの欠点が解消されたことになる。しかし、このままでは、VFOの周波数が固定になってしまうので意味がない。 そこでVFOの出力に分周器(周波数を整数で割ることのできる部品、例えば2で割ると2分周、3で割ると3分周)を通してから位相比較を行うと、VFOの周波数は水晶発振器の周波数の分周数倍となる。そして、分周数を変えることで、VFOの周波数が変えられる。 具体例で考えると次のようになる。 水晶発振器の周波数を10kHzとすると 10,000分周の場合:VFOの発振周波数は100.00MHzで水晶発振器と位相が合う 10,001分周の場合:VFOの発振周波数は100.01MHzで水晶発振器と位相が合う このように、連続的ではないにせよ、分周数を変えることで周波数を変えることができる。これが、PLLシンセサイザである。 なお、この例の10kHzを比較周波数(Comparison Frequency)と言う。一般的に、比較周波数と周波数設定間隔は同じになる。
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