国連憲章と核兵器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/20 06:32 UTC 版)
「核兵器の威嚇または使用の合法性国際司法裁判所勧告的意見」の記事における「国連憲章と核兵器」の解説
国連憲章第2条4項には「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」と定められており、これは同42条や同51条などの関連規定に照らして判断されなければならないが、これらの規定は核兵器を含め特定の兵器に言及しておらず、使用される兵器の種類を問わず全ての武力行使に適用される規定である。国連憲章第51条に定められる自衛権に基づく武力行使には、相手国による急迫不正の侵害が存在するという必要性の要件と、相手国の侵害行為と釣り合いのとれた自衛措置でなければならないという均衡性の要件が、国際慣習法により求められる。均衡性の要件は、それ自体があらゆる自衛の状況における核兵器使用を禁止するわけではないが、しかし自衛権行使による均衡性ある武力行使が合法であるためには、武力紛争に適用される法の要求を満たさなければならない。国連憲章第2条4項が言うところの武力の「行使」と「威嚇」は、ある武力の行使が違法であれば、そのような武力を行使するとの威嚇もまた違法となるという意味で、一体の概念である。核抑止政策が効果的であるためには、核兵器使用の意図が明らかでなければならない。こうした核抑止政策が国連憲章第2条4項に違反する「威嚇」に相当するかどうかは、それが他国の「領土保全又は政治的独立に対するもの」であるか、「国際連合の目的と両立しない」ものであるか、あるいはそれが自衛措置として行われた場合に必要性と均衡性の要件を必然的に満たしえないか、これらの要件によって判断されることになる。
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