固形臓器移植における拒絶反応の予防
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:14 UTC 版)
「免疫抑制剤」の記事における「固形臓器移植における拒絶反応の予防」の解説
ドナーの固形臓器をレシピエントに移植すると、拒絶反応がおこる。拒絶反応には超急性拒絶、急性拒絶、慢性拒絶の3つに分かれる。これらは異なるメカニズムで起こると考えられ、そのマネジメントも大きく異なる。移植に関しては移植 (医療)に詳しい。免疫抑制剤は急性拒絶の予防に用いられる。 超急性拒絶 超急性拒絶はレシピエントの既存抗HLA抗体をはじめとした、種特異的自然抗体による液性免疫によると考えられている。移植後24時間以内に発症し、血栓形成などがおこり臓器虚血に至る。この過程は既存の液性免疫によるものであるため、免疫抑制剤で抑制を行うことができない。血液型の適合で可能な限り予防を行う。超急性拒絶が起こった場合は速やかに移植臓器を摘出する。 急性拒絶 移植後1週間より3か月位でおきる拒絶反応である。液性免疫、細胞性免疫の両方が存在するが、おもに問題となるのは細胞性免疫である。ドナー臓器のMHC classII抗原による抗原提示によって細胞性免疫が駆動される。これを防止する目的で移植後は免疫抑制剤の投与を行う。腎移植ではこの反応がおこると腎腫大が起こるのが目安となる。予防できなかった場合は免疫抑制剤の増量を行う。免疫抑制が十分でない場合は急性液性拒絶が起こるといわれている。 慢性拒絶 移植後3ヶ月後以降に起こってくる。体液性免疫の影響と考えられているが病態は不明である。一般的な免疫抑制剤は無効であり、発症したら再移植が検討される。腎移植の場合は腎萎縮が起こることが目安とされている。副刺激の除去といった新しい免疫抑制剤は慢性拒絶の治療を目標としている。
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