固体における電気伝導の物理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 21:27 UTC 版)
「絶縁体」の記事における「固体における電気伝導の物理学」の解説
絶縁体には電流が流れない。バンド理論において絶縁体は、半導体と同じく価電子帯と伝導帯の間にバンドギャップが存在する状態、またはその状態を示す物質である。金属などの電気伝導体では電子が励起して伝導帯に遷移することで電流が流れる。バンドギャップのためにそのような状態とならない物質が絶縁体である。半導体よりバンドギャップの値が大きいものが絶縁体でありその間に歴とした境界はない(モット絶縁体のような例外もある)。 絶縁は、電子に占有された最もエネルギー準位の高い価電子帯からその上にある次のバンド(伝導帯)までが大きなエネルギーギャップで隔てられているために起きる。ある十分に高い電圧(絶縁破壊電圧)がかかると、電子が伝導帯まで励起するのに十分なエネルギーが与えられる。一度この電圧を越えると、その材質は絶縁体であることをやめ、電荷が流れるようになる。しかし、そうなったときは一般に物理的または化学的に変化し、その材料の絶縁性は恒久的に損なわれる。 絶縁体には共有結合性やイオン結合性の強い物質に多い。ただし例外としてグラファイトは、層内の結合は強い共有結合であっても半金属である。電解液やプラズマのようにイオンを含む液体や気体では電子ではなくイオンが電荷を担うため、伝導体となる。
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