回転方向に起因する逆行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/22 06:15 UTC 版)
「順行・逆行」の記事における「回転方向に起因する逆行」の解説
天体の回転方向に起因する逆行は、天体の自転軸や公転軌道に対する運動方向で定義される。天体の公転軌道の北極は右手系で定義される。すなわち、天体の公転運動の方向に沿って右手の指を曲げた時に右手の親指が向く方向を公転軌道の北と定義する。言い換えれば、公転軌道の北側から公転面を見ると天体が反時計回りに公転するように見える。 同様に天体の自転軸の北極は、その天体の自転方向に沿うように天体の赤道に右手の指をかぶせた時に親指が向く方向として定義する。自転軸の北側から天体を見ると反時計回りに自転するように見える。 逆行運動を表す際には数学的に等価な二通りの表現が可能である。すなわち、天体が軌道上を逆行すると考えても良いし、軌道上を順行しているが軌道面が裏返しになっている、と考えても良い。例として、ある惑星の赤道面に対して10°の傾きを持ち、軌道上を周期6時間で逆行公転する衛星を考えると、この衛星の軌道パラメータは以下のように表現できる。 軌道傾斜角: 10°、公転周期: -6時間 軌道傾斜角: 170°、公転周期: +6時間 前者は軌道傾斜角が90°を超えないような定義を用いた表現であり、後者は公転周期が負の値をとらないような定義を用いた表現となっている。同様に自転の場合も、自転軸が公転軸に対して10°傾いて逆行自転していると表現しても良いし、自転軸が逆さまになった状態で順行自転していると考えても良い。 これら二つの表現のうちどちらを用いるかは任意である。通常は公転周期が常に正になるように、従って逆行運動では軌道傾斜角が90~180度の値をとるように定義されることが多い。軌道傾斜角を併記しない場合には、天体の逆行運動を示すには周期を負の値で書くしかないため、天体の一覧表などでは逆行天体の周期を負の値で書く場合が多い。
※この「回転方向に起因する逆行」の解説は、「順行・逆行」の解説の一部です。
「回転方向に起因する逆行」を含む「順行・逆行」の記事については、「順行・逆行」の概要を参照ください。
- 回転方向に起因する逆行のページへのリンク