回転式誘導起電機の原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/26 09:04 UTC 版)
「静電発電機」の記事における「回転式誘導起電機の原理」の解説
回転式誘導起電機の例として、アメリカ静電気学会の創立者A・D・ムーアが20世紀半ばに設計したディロッド起電機の原理を説明する。右図を参照のこと。 円板Dは絶縁体で作られ、矢印の向きに回転する。円板には6本の金属ロッドR1~R6が垂直に立てられており、両側から金属のコレクター板C1、C2に挟まれている。 動作を開始するには、はじめにコレクターC1とC2の間に電荷の不均衡が存在しなければならない。しかし、人間の手が装置の絶縁部品に触れると静電気が生じるため、コレクターには自然にわずかな電荷が誘起されているのが常である。ここではC1が負に、C2が正に帯電していたとする。 コレクターが帯電しているため、導体でつながれている誘導子I1、I2もそれぞれ電荷を持ち、近づいてきた金属ロッドR1とR4に静電誘導を及ぼす。すなわち、R1とR4は固定導体N(ニュートラライザー)を介して電荷をやり取りすることで、互いに逆の電荷を持つようになる。Nの両端にはロッドと導通を取るためのブラシがついている。 円板Dが回転していくと、電荷を持ったロッドはR3(R6)の位置でブラシによってコレクターと接続される。電荷には電気容量が大きい物体に移る性質があるため、ロッドが持っていた電荷はコレクターに集められる。この過程が繰り返されることにより、それぞれのコレクターが持つ正負の電荷はますます増えていく。 正の電荷を帯びたロッドを正のコレクターに近づけるには、静電反発力に抗して仕事をしなければならない。この力学的な仕事が帯電の静電エネルギーに変換されることになる。
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