唇音入声の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 04:04 UTC 版)
漢字音には入声と呼ばれる語末の破裂子音がある。これを日本語では母音挿入して「フ・ツ・チ・キ・ク」としており、入声 [p] には「フ」 /.mw-parser-output span.smallcaps{font-variant:small-caps}.mw-parser-output span.smallcaps-smaller{font-size:85%}fu/ で対応した。これが後にはハ行転呼により /u/ へと変化した経緯は前述のとおりである。 ただし、熟語の中で後続字が無声子音で始まる場合は「フ」ではなく促音「ッ」の形をとることが多く、ハ行転呼とは無縁である。例えば「合」(ガフ・カフ)が「合体」「合戦」などの熟語において「ガッ」「カッ」となっているのはその例である。しかし後には無声子音の前でも促音を用いないものも表れており、たとえば「合成」などでは無声子音の前でも「ガフ」のハ行転呼形に由来する「ゴウ」(/gafu/ > /gau/ > /goh/)となっている。また、甲(カフ)を使った「甲子」には「コウシ」と「カッシ」の二種類の読みがある。 さらに最近の現象として、「十回(ジフ+カイ)」を「ジュッカイ」と読むようになってきているが、これは旧来使われてきた促音形の「ジッカイ」 と、ハ行転呼を経た「十」の音「ジュウ」(/zifu/ > /ziu/ > /zyuh/)とが混成した形である。 また、「フ」のかわりに「ツ」を使うようになったものもある。例えば、「立」(リフ)は「建立」(コンリフ > コンリュウ)のように「フ」を用いた語彙もあるが、「設立」(セツリツ)、「立案」(リツアン)のように、大体において「ツ」が使われる。このため「押」(アフ > オウ)と「圧」(アフ > アツ)のように元々同音語であるのに、違った字音をもつ語のようになってしまったものもある。また「雑」(ザフ)のように「ゾウ」と「ザツ」、二つの音が並立して存在するものもある。「雑巾」と「雑菌」は同じ「キン」という発音の前であるにもかかわらず、違う発音になっている。
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