周期発生の理由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 23:50 UTC 版)
周期的発生および素数年発生の適応的意義を最初に指摘したのはロイドとダイバス(Lloyd & Dybas 1966, 1974[要出典])である。彼らは素数年での同時発生は、やはり数年周期の生活環を持つ捕食者や寄生虫が同期して発生する可能性を抑えられるためではないかと指摘した。例えばセミの発生周期が13年ではなく12年であったなら、発生周期が3年や4年の寄生虫とは常に同時発生してしまう。これが13年であれば、発生周期が3年の寄生虫は39年、4年の虫は52年おきにしかセミと同時発生することができない。 それとは別に、吉村仁は氷河期と成長速度を関連付けて説明した。他の周期をもつ種と交雑するとその周期が乱れるため、同じ周期を維持できなくなる。したがって交雑種は大量発生年からずれて発生するようになり、希釈効果を受けられなくなるか、配偶相手を見つけにくくなる(ウォレス効果あるいは正の頻度依存選択による分断性選択)。そのため、もっとも他の周期と重なりにくい素数周期のセミが生き残った、と主張している。 それぞれの大量発生についてはいわゆる希釈効果で説明できる。まとまって発生することで個体が捕食される可能性を低下させることができる。かつては種の保存のためと説明されたが、現在では個体の生存(または個別遺伝子の存続)に有利であるためと考えるのが一般的である。
※この「周期発生の理由」の解説は、「周期ゼミ」の解説の一部です。
「周期発生の理由」を含む「周期ゼミ」の記事については、「周期ゼミ」の概要を参照ください。
- 周期発生の理由のページへのリンク