合成の記法について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/22 05:53 UTC 版)
g ∘ f の合成の記号を落として、単に gf と書かれることも多い。 20世紀のなかごろ、(左から右へ読む文章中で)"g ∘ f" と書いたものが "最初に f を施してから g を施す" という意味になるのは非常にややこしいため、記号を改めて "f(x)" の代わりに "xf" と書き、"g(f(x))" の代わりに "(xf)g" と書いた者もあった。このような記法は後置記法と呼ばれる。分野によってはこのようにしたほうが、写像を左から作用させるよりも自然で単純であるようにも思われる(例えば線型代数学では x を行ベクトルとして、行列 f および g と右からの行列の積によって合成を行うことができる。行列の積は可換ではないから、順番は重要である)。連続して変換することと合成とが、合成の列を左から右に読むことによってちょうど一致する。 後置記法を採用している文脈では、"fg" と書くことで、初めに f を適用してから g を適用するという意味となるが、後置記法では記号の現れる順番を保たなければならないので、"fg" と書くのは(どこまでが一つの記号なのかわかりにくいため)曖昧さを含んでしまう。計算機科学者はこれを "f;g" と書き、これによって合成の順番に関する曖昧さを除くことができる。左合成演算子と地の文における約物としてセミコロンとを区別するために、Z記法では「太いセミコロン」⨟ (U+2A1F) で左関係合成(英語版)を表すが、写像は二項関係であるから、写像の合成に太いセミコロンを用いるのは意味的にも正しい(この記号法についての議論は関係の合成の項を参照)。
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