吃音の原因をめぐる研究史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 12:10 UTC 版)
19世紀のヨーロッパにおいては、吃音の原因は発語・呼吸器官にあると考えられており、治療も、呼吸や発声練習が中心だった。20世紀初頭になると、脳の問題が指摘されるようになる。具体的には利き手を無理に矯正したことが原因で、左右の脳からの運動指令に混乱が生じ、吃音につながったと考えられた。ここからアメリカでは利き手矯正をやめようという動きが生じたが、吃音になる人の数は減らなかった。のちに利き手矯正が吃音発症と関係ないことが証明されている。 1940年代には、心理的な原因が指摘され、アメリカの心理学者ウェンデル・ジョンソンは「診断起因説」を発表した。これは、吃音は子どもの口からではなく親の耳から始まる。正常な非流暢性が吃音とレッテルをはられ、本人に意識させることによって、吃音が始まるという考え方である。この考え方はかなり流通したが、さまざまな研究者によって反論され、1970年代頃には、診断起因説は廃れていった。 また、かつての仮説では吃音の原因として人真似や親の愛情不足などが挙げられていた。しかし、これらの仮説は否定され、1990年代以降には、吃音の原因を家庭環境ではなく生得的体質や遺伝に求める理論が出現した。
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