古典派価値論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/17 14:44 UTC 版)
デイヴィッド・リカードやカール・マルクスは、価値を決定するものとして労働量を考えたので、通常、かれらの理論は労働価値説 labor theory of valueと呼ばれる。リカードは、しかし、『経済学および課税の原理』の第3版(1821)では、(投入原材料に含まれる労働量や固定資本から移転される労働量と生きた労働量とを含む)投下労働量と価格とがかならずしも比例しないことに気づいており、労働価値説には修正が必要であるとした。 古典派経済学の祖といわれるアダム・スミスは、未開社会では労働価値説が成立すると考えたが、文明社会では、地代や利潤を考える必要があるとした。これは、リカードやマルクスによって「価値構成説」として批判された。 マルクスは、『資本論』第1巻と第2巻では労働投入量が価値を決めるとしたが、第3巻では、価格と労働価値との不比例性に言及し、より交換価値に近いものとして生産価格を導入した。労働価値と生産価格とがどのような関係にあるかをめぐって、後に転形問題が起き、その論争は現在に及んでいる。 マルクス派は、総じて労働価値説をマルクスの価値論とし、それ以外の価値論を価値論と認めない傾向がある。しかし、スラッファの価値は、投入財の価格も修正された生産価格であり、リカードが排除した価格の需給理論とはことなり、生産費が価値を決定するという古典派価値論の基本的性格を維持している。塩沢由典は、スラッファの価値を古典派の価値論として認識しなおすところに経済学再建の鍵があるとしている。
※この「古典派価値論」の解説は、「価値論」の解説の一部です。
「古典派価値論」を含む「価値論」の記事については、「価値論」の概要を参照ください。
- 古典派価値論のページへのリンク