受注の伸び悩み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 05:15 UTC 版)
当初の販売実績は決して順調ではなかった。1981年から1984年までの受注数の合計は35機という状況で、引渡しが開始された1982年にはわずか2機の受注しか獲得できなかったなど、苦戦が続いた。結局、767の受注数の合計が200機となるまでには実に6年以上の期間を要することになった。 特に、アメリカのフラッグ・キャリアであったパンアメリカン航空(パンナム)からの受注を獲得できなかったのは、航空業界でも大きな話題となった。パンナムは707や747などのローンチカスタマーとしてその開発にも強い影響を及ぼしており、ボーイングとの関係も強かったことから、パンナムは767がローンチすれば当然発注するものとみられていた。ところが、パンナムは767ではなく、エアバスA300・A310の発注を行ったのである。前述のように、燃料効率の向上のために胴体の太さをやや細くすることになったが、これは後述するようにそれまでのワイドボディ旅客機に搭載していたLD-3型貨物コンテナの搭載ができず、767専用のLD-2型コンテナしか使用できなくなった。LD-2型を747に搭載することは可能であるが、貨物室に無駄なスペースが発生することが、パンナムに敬遠されたのである。 1983年1月から、ボーイングでは767の航続距離延長型である767-200ER型の開発を開始した。767-200ER型の詳細は後述するが、これにより767の航続距離は、767-200型の5,852kmから9,445kmと飛躍的に延長された。さらにその後も改良が進んだことにより、最終的には767-200ER型の航続距離は12,352kmと、767-200型の2倍以上に延長された。しかし、767の受注数は伸び悩み、1984年9月の時点での767-200ER型の受注数は25機にとどまっており、767-300型に至ってはわずか8機しか受注を獲得できていなかった。
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