取材動画削除仮処分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 01:25 UTC 版)
「篠山町連続差別落書き事件」の記事における「取材動画削除仮処分」の解説
2020年11月25日、この事件を題材として現地を取材し差別が発生するメカニズムに迫った動画がインターネット動画投稿サイトYouTubeとニコニコ動画、並びにライブドアブログ(LINE)に公開されたが、地元自治会が差別だとして丹波篠山市に相談、丹波篠山市は「住民のプライバシーや名誉権を侵害している」と判断した。サイト管理者に削除を要請したが、当初は3社とも(憲法が保障する)表現の自由の範囲内であり違法とまでは立証できないと判断し応じなかったため、市と地元自治会長の連名で、2020年10-12月、3社を相手取り、仮処分を申し立てた。その後、YouTubeとライブドアブログは管理者が自主的に削除された。動画テロップの内容はほぼウィキペディアどおりで、「投稿動画の内容を確認したが、任意では削除しない」としてドワンゴが争う姿勢を示したため同支部が2020年12月、「差別が助長された」として、丹波篠山市と地元自治会がサイト管理会社ドワンゴに動画削除を求める仮処分を申し立て、2021年2月9日には神戸地裁柏原支部が削除を命じる決定を出した。ドワンゴは自治会長のプライバシー侵害などを認める決定を受け、動画を削除した。市は直接的な当事者ではないためと決定を速やかに得る目的で最終的には申立人から外れた。丹波篠山市の酒井隆明市長は、「申立人と積極的にかかわったが、部落差別をなくすのは市の責務で、長年取り組んできた」と弁明、表現の自由の侵害には当たらないという立場を示した。部落差別問題を扱った動画の削除を命じる仮処分は全国初であった[7]。 法務省人権擁護局は特定の地域を同和地区である、またはあったと指摘する情報を公にすることは人権擁護上許容されず、原則として削除対象とすべきだという考えをとっている。従来は差別の助長・誘発を目的とする場合に限って削除を要請する立場を取っていたが、2018年末の通知で、目的に関係なく、特定の地域を同和地区であると明示していれば原則、削除を要請する方針に変更した。ただし、法務省の通知は「学術や研究などの正当な目的」とするものは例外としている。
※この「取材動画削除仮処分」の解説は、「篠山町連続差別落書き事件」の解説の一部です。
「取材動画削除仮処分」を含む「篠山町連続差別落書き事件」の記事については、「篠山町連続差別落書き事件」の概要を参照ください。
- 取材動画削除仮処分のページへのリンク