取引の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 21:20 UTC 版)
現在、金1トロイオンス(oz)の現物価格が10万円であるとする。投資家Aは金価格の上昇を予想し、投資家Bは下落を予測した。 取引の成立 AはBより、「1年後、金1ozを、10万円で購入する権利」を1万円で買った。この場合原資産 : 金1oz 購入する権利 : コール・オプション 権利行使日 : 1年後の同日 権利行使価格 : 10万円 オプション料(プレミアム) : 1万円 となる。 オプションの価値 その後、金塊の現物価格が13万円になったとすると「10万円で購入する権利」には、差額の3万円分の価値があることになる。期日前でも、Aはこのオプションを相当額で他者に転売することもできる。ただ実際には残り時間や値動きなどが関係してくるため、厳密なオプション価格の算出には複雑な計算がいる。 取引の終了 1年後に、金の現物価格が10万円以下であった場合。金の現在の市場での現物価格が8万円や9万円であるなら、金塊を10万円で買える権利には価値がない。そのためAはオプションを権利行使せず権利放棄する。オプション料の1万円は、Aの損失、Bの利益として確定する。 金塊の現物価格が、10万円超であった場合。Aは、オプションを権利行使して、Bより金塊を10万円で購入し、市場にて現物価格で売却して、差額分の利益を得る。 Bは、手元に金塊がない場合、金塊を市場から現物価格で購入し、Aに10万円で引き渡す義務を負う。差額分はBの損失である。 AとBの最終的な収支は、オプション料の1万円と売却損益を差し引きした額である。したがって、金塊の現物価格11万円が、この取引の損益の分岐点である。注意すべきは、Aの損失の限度が1万円であるのに対し、Bの損失には限度がないことである。例えば金塊の現物価格が20万円になっていた場合、Bの損失は9万円にまで膨らむ。オプションの売りがリスクテイクと言われるのは、このためである。
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