南九州における縄文草創期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 04:56 UTC 版)
「栫ノ原遺跡」の記事における「南九州における縄文草創期」の解説
南九州地方では、縄文時代草創期の遺跡が数十か所確認されている。この地方では、日本の他の地域に先駆けて、旧石器時代の冷涼で乾燥した気候から温暖湿潤な縄文時代の気候への変動が進んだと考えられており、縄文草創期の遺跡についても他地域とは異なった様相がみられる。鹿児島地方では、桜島を噴出元とする約11,500年前の薩摩火山灰層が年代決定のための鍵層となっており、この層の直下の層で、旧石器時代から縄文草創期への移行がみられる。 遺跡から検出される花粉の分析結果によれば、縄文草創期には照葉樹林が出現し、気候が温暖化していたことがうかがわれる。栫ノ原遺跡では、花粉や炭化物の分析から、コナラ科、クスノキ科、ススキ属、クマザサ属が検出されている 。 南九州地方の縄文草創期遺跡では、堅果類を磨り潰して粉にするための磨石と石皿、イネ科植物の伐採や除草に用いられた打製石斧などが多くみられることから、植物性食料への依存度が高く、それが定住化につながったとの見方がある。一方で、磨石、石皿等の石器の種別分類には再考の余地があり、南九州地方では他の地方に先がけて植物資源の高度利用が進んでいたとの説に対して疑問を呈する研究者もいる。
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