北極振動の原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/16 18:18 UTC 版)
北極振動より以前から知られている南方振動(SO)が海面水温の変動であるエルニーニョ現象と強く関連しているのに対して、北極振動への海面水温の影響は今のところはっきりしていない。しかし大気内部の現象は通常、数ヶ月程度しか続かないため準十年振動のような長期の変動は大気内部だけの現象とは考えにくく海洋の影響はあるものと考えられている。北極振動が始まる原因は現時点でははっきりしておらず、北極振動自体も一つの物理的現象なのか、NAOや太平洋・北米パターン(PNA)など複数の振動が重なりあって統計的に取り出された見かけ上のものなのかについても研究途上である。 北極振動が変化する要因の1つとして太陽活動との関連が知られる。また、太陽活動は成層圏準2年周期振動(QBO:quasi-biennial oscillation)との関連も指摘されている。これら太陽活動と気候変動の関係を調べる研究は徐々に認知されてきており、北極振動における励起因子の解明の鍵となる可能性もある。 1980年ごろから北極振動指数は正の値を示すことが多くなっているが、これについては地球温暖化との関連が考えられている。特に、北半球の気温の長期変化傾向は、正の北極振動の時の気温パターンとほぼ一致するため、近年の北半球の気温上昇の大部分が北極振動のパターン変化の影響を受けているのではないかとみられている。
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