動物福祉に対する批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 15:10 UTC 版)
動物福祉は、動物からの搾取は減りつつあるという間違った印象を与え、市民の道徳的不安を和らげる術を与えて動物からの搾取を正当化しかねないという批判や、畜産業界の宣伝を助け、畜産物の消費拡大を押し上げてしまうという指摘がある。また、畜産を暗黙のうちに了解することになり、動物福祉の選択肢が加わると、工場畜産廃絶の選択肢が見落とされやすくなるという指摘がある。 米国の法律学者であるゲイリー・フランシオンは、動物福祉は畜産業を効率的にし、社会が容認しやすいものへ変え、畜産の廃絶よりも拡大に資する可能性の方が大きいという。 また、動物福祉の徹底をしても、最終的に家畜は屠殺されることから、動物福祉は動物の信頼に対する裏切りになるという指摘などもあるが、いっぽうで、屠殺場改革を試みた動物行動学者で全米の屠殺場の半分を設計したテンプル・グランディンは、人道性と屠殺の矛盾を問われた際、末期患者にモルヒネを投与するのと同様に動物が生きている間なるべく快適にするのは意味があると答えている。
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