勅許状による貴族制度の成立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 17:36 UTC 版)
「世襲貴族」の記事における「勅許状による貴族制度の成立」の解説
しかしヨーロッパ大陸から輸入された公爵(Duke)、侯爵(Marquess)、子爵(Viscount)が貴族領の有無・大小と関わりなく勅許状(Letters patent)によって与えられる貴族称号として登場してくると、Baronも所領保有の有無にかかわらず勅許状によって与えられる最下位の貴族称号(「男爵」と訳される性質の物)へと変化した。国王勅許状による称号としての男爵(Baron)位を最初に受けたのは1387年にキッダーミンスター男爵(Baron of Kidderminster)に叙されたジョン・ド・ビーチャム(英語版)である。勅許状による貴族称号には議会出席権が付随しており、国王の議会召集令状を受けなくても議会に出席できる。 貴族称号の最上位である公爵(Duke)は、1337年にエドワード3世(在位:1327年 - 1377年)が皇太子エドワード黒太子にコーンウォール公爵(Duke of Cornwall)を与えたのが最初の事例である。ついでヘンリー3世の曾孫ヘンリーにランカスター公爵(Duke of Lancaster)位が与えられたことで公爵位が貴族の最上位で王位に次ぐ爵位であることが明確化した。臣民で最初に公爵位を与えられたのは1483年にリチャード3世(在位:1483年 - 1485年)よりノーフォーク公爵(Duke of Norfolk)に叙せられたジョン・ハワードである。侯爵(Marquess)は、1385年にオックスフォード伯爵ロバート・ド・ヴィアがダブリン侯爵(Marquess of Dublin)に叙されたのが最初であり、子爵(Viscount)は1440年に第6代ボーモント男爵ジョン・ボーモントにボーモント子爵(Viscount Beaumont)位が与えられたのが最初である。 15世紀以降には新貴族叙任はこの勅許状による貴族称号創出で統一された。所領の保有は貴族たることの前提条件ではなくなり、またその称号に冠されている地名が受爵者の所領であるとは限らなくなった。1328年創設のマーチ伯爵が受爵者の所領と無関係な最初の称号である。
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