初期の水管ボイラー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/07 15:45 UTC 版)
「ヤーロウ式ボイラー」の記事における「初期の水管ボイラー」の解説
イギリス海軍では、水管ボイラーが使用されるようになった初期にさまざまな物議を醸し、1900年頃には「ボイラーの戦い」と呼ばれる論争まで起きていた。ベルヴィール式やニクロース式といった初期の水管ボイラーは、水平面に対して浅い角度で傾けた直径約4インチの直管を多数並べたものであった。水管は鋳鉄製の管寄せに接合されていたが、この接合部で蒸気が漏れることが大きな課題となっていた。これは、当時は直管の熱膨張により接合部に負担がかかっているためだと考えられていた。ベルヴィール式・ニクロース式ともに非常に大柄な設備であり、前弩級戦艦には搭載できたが小型の魚雷艇や駆逐艦はとても搭載できるものではなく、小型化を目指した研究開発が盛んに行われていた。 その後、直径約2インチほどの細い水管を使用することで、体積および重量に対する伝熱面積の比を格段に高めた設計が採られるようになり、小型艦に搭載可能なほど軽量のボイラーが実現できるようになった。こういったボイラーのほとんどは、ジュタンプル式やノルマン式に代表される三胴式のものであった。 三胴式の出現により水管の配置は垂直に近くなり、細管でも熱がうまく循環するようになった。しかし管の熱膨張による接合部への負荷は相変わらず課題であり、伝熱面積を稼ぐ都合もあって水管は曲線状になっていたが、甚だしいものではヘアピンあるいはS字のように複雑な形状に曲げられていた。これには実用上2つの大きな問題があり、1つは複雑に曲がった水管の洗浄が困難であること、もう1つは管寄せに集まる水管の角度がまちまちで、高い信頼性をもつ接合部を作るのが困難であることであった
※この「初期の水管ボイラー」の解説は、「ヤーロウ式ボイラー」の解説の一部です。
「初期の水管ボイラー」を含む「ヤーロウ式ボイラー」の記事については、「ヤーロウ式ボイラー」の概要を参照ください。
- 初期の水管ボイラーのページへのリンク