分析に利用する場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/07/01 08:36 UTC 版)
なお、光合成の研究初期には、その機構の分析に制限要因が利用されたことでも有名である。具体的には19世紀半ばには光合全体としての反応のあり方、たとえば発生する酸素と消費される二酸化炭素量が等しいことなどが明らかにされていたが、詳細な反応を分析することは当時の技術では出来なかった。このころイギリスのブラックマンらは温度、光、二酸化炭素濃度などを様々に変えながら光合成速度を調べる実験を行なった。光合成速度は二酸化炭素の吸収量などを目安とする。すると、以下のような事実が判明した。 普通の光の量のもと、温度を変えながら光合成速度を調べた場合、普通の温度の範囲では高温ほど光合成速度が増加するが、温度が40℃程度から上では急速に減速する。 ところが光の量を特に少なくした場合、40℃くらいまでの範囲では光合成速度にほとんど差が出なかった。 これは言い換えると光が十分にあるときには温度によって光合成速度が決まる、つまり温度が制限要因となる。しかし光が大きく不足する条件では異なった結果が生じている。つまり光の量が制限要因となっている状況では温度の影響が出ないということである。このようなことから、ワールブルクは以下のような推定をした。 光合成には二つの局面があり、一つは光エネルギーの取り込みに関わるもの、もう一つはそれを用いて炭酸同化を行うものである。そして前者は温度の影響をあまり受けず、後者については温度が大きく影響する。 この考えは光合成における制限要因説と呼ばれた。ような研究は光合成反応の解明に多大な影響を与え、以降の研究の方向を決めるものであった。後にこれらは連続する二つのやや独立した反応を構成するものと考えられ、前者は明反応、後者は暗反応と呼ばれるようになった。
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