分散関係式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 06:51 UTC 版)
伝搬方向に対して垂直な方向の長さが無限であることを仮定する。このとき、真空中に置かれた厚さ2h、縦波速度cL、横波速度cTの等方弾性体の板を伝搬するラム波の分散関係(角周波数ωと波数kの関係)は以下のように表される。ここで波数kとは、ラム波の伝搬方向に対する波長をλとするとき、k=λ/(2π)で表される量である。 Ω S ( ω , k ) ≡ ( q 2 − k 2 ) 2 ( sin ( q h ) q ) cos ( p h ) + 4 k 2 p sin ( p h ) cos ( q h ) = 0 , {\displaystyle \Omega _{\rm {S}}(\omega ,k)\equiv \left(q^{2}-k^{2}\right)^{2}\left({\frac {\sin(qh)}{q}}\right)\cos(ph)+4k^{2}p\sin(ph)\cos(qh)=0,} Ω A ( ω , k ) ≡ ( q 2 − k 2 ) 2 ( sin ( p h ) p ) cos ( q h ) + 4 k 2 q sin ( q h ) cos ( p h ) = 0. {\displaystyle \Omega _{\rm {A}}(\omega ,k)\equiv \left(q^{2}-k^{2}\right)^{2}\left({\frac {\sin(ph)}{p}}\right)\cos(qh)+4k^{2}q\sin(qh)\cos(ph)=0.} この式は特にレイリー=ラム周波数方程式と呼ばれている。ただし式中のp,qはそれぞれ縦波および横波の面外方向の波数成分を表し、 p = ( ω c L ) 2 − k 2 , {\displaystyle p={\sqrt {\left({\frac {\omega }{c_{\rm {L}}}}\right)^{2}-k^{2}}},} q = ( ω c T ) 2 − k 2 , {\displaystyle q={\sqrt {\left({\frac {\omega }{c_{\rm {T}}}}\right)^{2}-k^{2}}},} であり、実数あるいは純虚数をとる。レイリー=ラム周波数方程式は実数の角周波数ωに対して、一般に実数あるいは複素数の波数kを解に持つ。kが実数の場合、ラム波は長距離を伝搬しうるため、伝搬モードと呼ばれる。kが複素数あるいは純虚数の場合、伝搬に従いその振幅が指数関数的に減衰するため、非伝搬モードとなる。レイリー=ラム周波数方程式を満たすという意味ではいずれもラム波であるが、文脈によってはラム波伝搬モードをラム波と呼んでいることもある。レイリー=ラム周波数方程式はその板厚あるいは周波数の無限大の極限としてレイリー波の分散関係式を含む。特に板厚が弾性波の波長に対して同程度であるときに上述したラム波としての性質(速度分散性・多モード性)が顕著に現れる。
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