処理 - 脱水、洗浄、浸透
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 15:34 UTC 版)
「組織学」の記事における「処理 - 脱水、洗浄、浸透」の解説
組織処理の目的は、組織から水分を取り除き、薄片加工できるように組織を固体化させる物質で置き換えることである。生物組織を薄片にするためには、堅い基質で支持されることが必要である。光学顕微鏡用の薄片は5μm、電子顕微鏡用の薄片は80〜100nmのものが一般的である。 光学顕微鏡用の切片には、パラフィンが最もよく使われる。パラフィンは生物組織の主成分である水と混じり合わないため、水分は処理の段階で最初に取り除かれる必要がある。濃度の異なる複数のエタノール溶液槽に入れられることで、試料の脱水が行われる(水槽のエタノール濃度は、次第に高くなる)。次にキシレンなどの疎水性洗浄液でアルコールが取り除かれる。最後に溶かしたパラフィン・ワックスが組織に浸透され、キシレンと置き換わる。 パラフィン・ワックスは、電子顕微鏡用の切片を作る硬質としては不十分である。このため、代わりに樹脂が用いられる。エポキシ樹脂が最もよく利用されるが、特に免疫染色が必要な箇所ではアクリル樹脂も利用される。樹脂で包埋された組織の極薄切片 (0.35μm〜5μm) は光学顕微鏡用にも用いられる。エポキシ樹脂・アクリル樹脂の大半は水と混じり合わないが、これは組織の脱水に必要なもので、この脱水過程ではエタノールが併用されることが多い。
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