内在性の分裂促進因子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 04:18 UTC 版)
「分裂促進因子」の記事における「内在性の分裂促進因子」の解説
分裂促進因子には、内在性の因子と外来性の因子が存在する。内在性の分裂促進因子による細胞分裂の制御は、多細胞生物のライフサイクルにおいて正常かつ必須の過程である。例えばゼブラフィッシュでは、内在性の分裂促進因子Nrg1は心臓損傷の徴候に応答して産生される。Nrg1が発現した際には、心臓の外層は分裂速度が増加し、新たな心筋の層が形成されて損傷部分に置き換わる。しかし、この経路は有害なものとなる可能性もある。心臓の損傷がないにもかかわらずNrg1が発現した場合には、心臓細胞の無制御な増殖が引き起こされ、大きな心臓が形成される。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)など一部の成長因子も分裂促進因子として直接的に機能する能力を持ち、細胞複製を直接誘導することで増殖を引き起こす。ただしこれはすべての成長因子に当てはまるわけではなく、一部の成長因子は、他の分裂促進因子の放出の引き金を引くことによって、間接的に分裂促進効果を引き起こすようである。このことは、in vitroではVEGFが持つような分裂促進活性を持たないことから示される。他の良く知られた、分裂促進因子として機能する成長因子としては、血小板由来成長因子(PDGF)や上皮成長因子(EGF)がある。
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