公園のトイレが立派春うららか
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季 語 |
春 |
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評 言 |
この度、「芸術選奨文部大臣新人賞」を受賞した、第二句集『巨石文明』に収められた句。 私が子供の頃の公園のトイレの記憶と言えば、汚い・臭い・薄暗い…と、散々なものだ。出来るだけ利用せずに済ませたいと思える代物だった。 しかし昨今の公衆トイレ事情は違うようで、清潔であることは勿論、立派を通り越して豪奢と言えるものまで存在する。利用した事のあるものを幾つか紹介させて頂くと、例えば神戸南京町にある公衆トイレ、その名も「臥龍殿」。中華風の壮麗な建物に内装も凝っている。 小豆島の国立公園寒霞渓のトイレは総工費1億円で自動ドア、冷暖房、BGMなどなど。 あともう一つ、姫路城近くのシロトピア公園にある、黒川紀章設計のトイレというのもあった。 話があらぬ方へ行ってしまいました。寒蟬俳句の世界に戻ります。 いつも仲寒蟬の守備範囲の広さに感心する。時空を超越し、何でも句材にしてしまう。雑食系の俳人。即ちいつも五感を研ぎ澄ませて、キャッチすべきものを逃さずにいるのだ。そして見たまま感じたままを事実に即して作りながら、こんな所に大金を投じてどうするのかという特有の軽い皮肉を潜ませている。また「春うららか」と言う優しい季語が、それを和らげるのではなく、後押ししているのも面白い。 |
評 者 |
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備 考 |
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