光あれ!とは? わかりやすく解説

光あれ!

作者峰守ひろかず

収載図書ほうかご百物語 3
出版社アスキー・メディアワークス
刊行年月2008.10
シリーズ名電撃文庫


光あれ

作者中井英夫

収載図書黄泉戸喫
出版社東京創元社
刊行年月1994.4


光あれ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/05 05:26 UTC 版)

ギュスターヴ・ドレ画『光の創造』(Création de la lumière)

光あれ(ひかりあれ)は、聖書創世記』の冒頭部、1章3節にある文言である。

神は「光あれ」と言われた。すると光があった。
創世記 1章3節(聖書 口語訳)、[1]

「光あれ」はヘブライ語の原文יְהִי אוֹר (yehi 'or)に相当し、ギリシャ語ではγενηθήτω φῶς (genēthḗtō phôs)、ラテン語ではfiat luxlux sitと翻訳されている。これは創世記の天地創造の物語の一部である。

ラテン語の"fiat lux"や英語の"Let there be light"は、慣用句として広く使われている。また、カリフォルニア大学など[2]多くの教育機関のモットーとして使われており、これは「光」を「知識」のメタファーとして用いているものである。

翻訳

ヘブライ語聖書において、יְהִי אוֹרyəhî ’ôr)というフレーズは2つの単語からなっている。יְהִי (yəhî) は「存在する」という動詞の三人称男性単数現在形であり、אוֹר (’ôr) は「光」を意味する。

コイネーによる七十人訳聖書では、第1章第3節は「καὶ εἶπεν ὁ Θεός γενηθήτω φῶς καὶ ἐγένετο φῶς」(—kaì eîpen ho Theós genēthḗtō phôs kaì egéneto phôs)と翻訳されている。ここで「Γενηθήτω」は、「γίγνομαι」(~となる)の命令形である。

ギリシャ語訳を最初にラテン語に翻訳した古ラテン語聖書では、「lux sit」(光を存在させよ)となっており、このフレーズは今日でも使用されることがあるが、その訳の正確性については議論がある[3]

カトリック教会の標準ラテン語聖書であるウルガタでは「fiat lux」と訳されている。「fiat」は「行う」または「作る」の意味の動詞「facio」の三人称単数現在形受動態接続法の形であり、文字通りには「fiat lux」は「光が創造されよ」という意味になる[4]。英語によるドゥアイ・リームズ聖書では、ウルガタから「Be light made. And light was made.」(光が創造されよ。そして光が創造された)と訳している。欽定訳聖書では「Let there be light」となっている。

日本語においては、『舊新約聖書』(文語訳聖書)で「神光あれと言たまひければ光ありき」と翻訳され、『聖書 口語訳』をはじめとする口語訳においても「光あれ」という翻訳は維持された。

解釈

言葉による創造

アウグスティヌスは著書『神の国』において、この節は、単に神が世界を創造したというだけでなく、「神が言葉によって世界を創造した」ことを示すものであると解釈している[5]。「光あれ」というフレーズは、聖書に記載される最初の神の言葉である[6]。ラテン語の"fiat lux"は「光が創造されよ」という命令であり、命令による天地創造の記述は、神学用語で「フィーアト創造」(fiat creation)という[7]ピーター・クリーフト英語版は、「(神は)ただ語った。そしてそれは存在するようになった」と述べている[8]。『ヨハネによる福音書1章には「初めに言(ことば)があった。(中略)万物は言によって成った」とある。

ゲルハルト・フォン・ラートはこの含意を、創造主と被造物の間の最も根本的な区別であると考えている。創造は神から発せられたもの、すなわち、神聖性の現れではなく、神の個人的な意思の産物であるとしている[9]

カイサリアのバシレイオスは、世界を美しくするための光の役割を強調しており[10]アンブロジウスもまた、「善き創造主は『光』という言葉を発し、それにより世界に明るさを吹き込み、かくしてその様相を美しくした」と書いている[11]

創世記において、光は太陽、月、星よりも先に創造されたと書かれている。光が1日目に作られたのに対し、太陽などが作られたのは4日目である(創世記1:14-19)[12]。ユダヤ教の解釈には、ここで創造された光は「原始の光」であり、太陽に関連する光とは異なる(より明るい)とするものがある[13]。この光は比喩的に解釈されることもあり[14]、「神は光をまとっている」と述べる詩篇第104篇英語版(創造の詩[15])と関連付けられることもある[16][17]

この節の記述と現代宇宙論におけるビッグバンとの関連を指摘する作家もいる[12][18][19][20]

脚注

  1. ^ 検索結果(章)”. 日本聖書協会. 2025年1月15日閲覧。
  2. ^ University of California website, accessed 25 August 2012.
  3. ^ “But What Does It Mean?”. The Daily (The University of Washington). (1999年5月25日). http://www.dailyuw.com/news/article_66c479de-c6c0-5960-82d9-b9b75c1deac4.html 2014年9月1日閲覧。 
  4. ^ Latin verb 'facio' conjugated”. Verbix. 2025年1月14日閲覧。
  5. ^ Augustine, City of God, Book XI, Chapter 21.
  6. ^ Worthington, Jonathan D., Creation in Paul and Philo: The Beginning and Before, Mohr Siebeck, 2011, ISBN 3161508394, p. 79.
  7. ^ Hamilton, Victor P., The Book of Genesis: Chapters 1-17, 7th ed., Eerdmans, 1990, ISBN 0802825214, p. 119.
  8. ^ Kreeft, Peter, Catholic Christianity: A Complete Catechism of Catholic Beliefs Based on the Catechism of the Catholic Church, Ignatius Press, 2001, ISBN 0898707986, p. 48.
  9. ^ von Rad, Gerhard, Genesis: A Commentary, Westminster John Knox Press, 1973, ISBN 0664227457, pp. 51–52.
  10. ^ Jeffrey, David L., A Dictionary of Biblical Tradition in English Literature, Eerdmans, 1992, ISBN 0802836348, pp. 275–278.
  11. ^ Ambrose, Hexameron, Paradise, and Cain and Abel (tr. John J. Savage), CUA Press, 1961, ISBN 0813213835, p. 39.
  12. ^ a b Albl, Martin C., Reason, Faith, and Tradition: Explorations in Catholic Theology, Saint Mary's Press, 2009, ISBN 0884899829, p. 82.
  13. ^ Schwartz, Howard, Tree of Souls: The Mythology of Judaism, Oxford University Press, 2004, ISBN 0199879796, p. lxxii.
  14. ^ Reno, R. R., Genesis, Brazos Press, 2010, ISBN 1587430916, p. 46.
  15. ^ Phillips, John, Exploring Psalms: An Expository Commentary, Volume 2, Kregel Academic, 2002, ISBN 0825434939, p. 131.
  16. ^ Zorn, Walter D., Psalms, Volume 2, College Press, 2004, ISBN 0899008887, p. 266.
  17. ^ Schwartz, Howard, Tree of Souls: The Mythology of Judaism, Oxford University Press, 2004, ISBN 0199879796, p. 85.
  18. ^ Cootsona, Gregory S., Creation and Last Things: At the Intersection of Theology and Science, Westminster John Knox Press, 2002, ISBN 0664501605, p. 49.
  19. ^ Gasperini, Maurizio, The Universe Before the Big Bang: Cosmology and String Theory, Springer, 2008, ISBN 3540744193, p. 195.
  20. ^ Jammer, Max, Einstein and Religion: Physics and Theology, Princeton University Press, 2011, ISBN 069110297X, p. 255.

外部リンク


(※番外編)光あれ(Let There Be Light)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/28 13:37 UTC 版)

白鹿亭綺譚」の記事における「(※番外編)光あれ(Let There Be Light)」の解説

※この本に収録されてはいないが、クラーク短編集10の世界の物語』の中に白鹿亭」で語られた話として収録されている。

※この「(※番外編)光あれ(Let There Be Light)」の解説は、「白鹿亭綺譚」の解説の一部です。
「(※番外編)光あれ(Let There Be Light)」を含む「白鹿亭綺譚」の記事については、「白鹿亭綺譚」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「光あれ!」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「光あれ!」に関係したコラム

  • 株主優待銘柄とは

    株主優待銘柄とは、株主に対する還元策の1つとして商品券や割引券など配布している銘柄のことです。企業は、株主還元のため、また、株主の獲得のためにさまざまな株主優待を用意しています。株主優待は、1単元でも...

  • 株式の投資基準とされる売上高伸び率とは

    株式の投資基準とされる売上高伸び率とは、企業の予想売上高が最新の売上高の何パーセント増加しているかを表したものです。予想売上高が伸びればその分、株価も上昇するのが一般的とされています。売上高伸び率は、...

  • 株式売買を行う日本国内の証券会社の一覧

    個人投資家が株式投資を行う場合、証券会社を通じて株式売買を行うのが一般的です。証券会社は、株式などの有価証券の売買をはじめ、店頭デリバティブ取引や有価証券の管理を主な業務としています。日本国内の証券会...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「光あれ!」の関連用語

1
100% |||||

2
100% |||||



5
90% |||||

6
90% |||||

7
90% |||||

8
90% |||||

9
90% |||||

10
90% |||||

光あれ!のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



光あれ!のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの光あれ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの白鹿亭綺譚 (改訂履歴)、10の世界の物語 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS