先史時代の事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 21:16 UTC 版)
火山の冬と呼ばれるものの一つに、インドネシアのスマトラ島のトバ湖の大噴火によって引き起こった71,000〜73,000年前のものがある。その後6年間、ここ110,000年間で最も大量の火山性の硫黄が堆積し、東南アジアでの重大な森林減少や1°C単位での世界的な気温の低下が引き起こされたと言われる。この噴火は大陸上で進行していた氷河を加速することによって、氷河時代への急速な引戻しを起こし、地球上の動物や人類の個体数が大規模に減少したと仮説を立てる科学者がいる。その一方で、噴火による気候の影響はあまりに小さく短期的なもので、当時の人口にこれまでに挙がっているような影響は与えなかったと言う科学者もいる。 噴火と同時期に大多数の人類の分化が突然起こったという事実から推測するに、おそらくこれは、火山の冬に関連づけられるボトルネック効果の1つであろう。平均して、総噴出量が最低1015kg(トバの噴出量=6.9×1015kg)の大噴火が100万年毎に起こっている。 ロシアにはシベリア・トラップという巨大な洪水玄武岩の噴出跡があり、東京大学の磯崎行雄は、はるか太古の昔に起こったP-T境界の大絶滅について、スーパーホットプルームの噴出による巨大規模の火山活動による火山の冬が原因であり、シベリア・トラップはその痕跡であるとの説を唱えている。磯崎は、この火山の冬を「プルームの冬(plume winter)」と名付けている。
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