保税制度

石油/天然ガス用語辞典

保税制度

読み方： ほぜいせいど
【英】: bond system

保税とは、輸出入貨物について税関手続きが未済である状態をいい、保税のまま輸出入貨物を蔵置することのできる場所を保税地域という。保税地域から有税の外国貨物を引き取る場合には関税の納付義務が生ずる（石油関係では、この引き取りにより石油関税のみならず石油税、揮発油税、地方道路税または石油ガス税の納税義務が生ずる）。また保税のまま輸出入貨物を保税地域相互間または開港へ運送することを保税運送という。そして主として保税地域および保税運送に関する制度を保税制度という。保税地域は、関税法第 29 条により指定保税地域、保税上屋、保税倉庫、保税工場および保税展示場の 5 種に区分されるが、石油についてみれば、このうち主として保税上屋、保税倉庫および保税工場が関係してくる。保税上屋は輸出入貨物の通関手続きのため税関長が許可した保税地域であり、通常 1 カ月以内の蔵置に利用される。石油関係では潤滑油など主として石油製品の輸入に利用されている。保税倉庫は外国貨物を保税のまま長期（原則 2 年で、倉移しの場合には通算される）にわたって蔵置することができる場所として税関長が許可した場所である。石油精製業者等には石油備蓄法により 90 日分の備蓄義務が課せられているが、この石油備蓄のために保税倉庫（石油備蓄基地）が利用されている。保税工場は、外国貨物を保税のまま加工し、原料として使用し、または改装もしくは仕分けなどをすること（これらを保税作業という）ができる場所として税関長が許可した場所をいう。この場合外国貨物をその保税工場に蔵置することができる期間は原則的に 2 年間である。保税工場は主として輸入原材料を加工し、製品などとして再輸出する便宜上設けられているものであり、石油関係では主としてバンカー油、航空機燃料および潤滑油などの製造のため利用されている。また関税法には、保税地域外に税関長の許可を得て保税のまま蔵置する「他所蔵置」に関する規定も置かれている。石油の備蓄方法としてタンカー備蓄があるが、この場合、錨泊｛びょうはく｝方式によるときは税関長の許可を得て「他所蔵置」として扱われる。なお、外洋における漂泊方式による場合で輸入原油を直接備蓄するときは、タンカーは外国貿易船と見なされ、保税の手続きは不要であるが、いったん保税地域に搬入されたものをタンカーに移して備蓄するときは、保税運送の手続きがとられる。