低温焼戻し脆性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 21:32 UTC 版)
250 - 350℃からの焼戻しで発生する脆化を低温焼戻し脆性と呼ぶ。低温焼戻し脆性は、焼戻しの冷却速度と鋼種を問わずに発生する。一端高温で焼戻しすれば、この条件で焼戻ししても低温焼戻し脆性は発生しなくなるのが特徴である。 低温焼戻し脆性の原因は、リン、窒素などの不純物が旧オーステナイト結晶粒界に析出すること、300℃以上で析出する初期セメンタイトが薄板状のため粒界に析出すること、残留オーステナイトから炭化物が析出して不安定になり、荷重負荷時にマルテンサイト変態して脆くなること、などが挙げられる。そのため、リン、窒素などの不純物を減らすことも脆化を軽減する対策の1つである。 防止策としては、この温度域からの焼戻しを避けることが第一で、珪素を添加も有効である。珪素の働きでε炭化物を安定させて、セメンタイトの析出と成長を抑え、脆化発生領域を高温域に移動させることができる。
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