任意の状態集合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 09:22 UTC 版)
「量子複製不可能定理」の記事における「任意の状態集合」の解説
複製の不可能性は、量子状態の任意の集合が持つ性質であると捉えることができる。ある系の状態が集合Sに含まれる事を知っているが、そのうちのどれであるかを知らないとき、他の系に同じ状態を作る事は可能であろうか? もしSの要素のそれぞれが互いに直交しているなら、答えは常にイエスである。そのような全ての集合について、系を乱す事なく、その正確な状態を確かめる実験が存在し、そして一度状態を知る事ができば、他の系に同じ状態を作る事は可能である。もしSに、互いに直交していない2つの状態が存在するなら、(特に、そのような対を含む全ての量子状態について)ここまでと類似の議論によって答えがノーである事が確かめられる。 複製できない状態の集合の基数は、2まで小さくなりうるから、もし2つの可能性まで量子系の状態を絞り込めたとしても、(それらがたまたま直交していない限り)それを複製する事は一般には不可能である。 複製不可能定理のもう一つの表現方法は、量子的な信号の増幅が、ある直交基底によってしか出来ないという事である。これは量子デコヒーレンスにおいて古典的な確率のルールが出現することと関係している。
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