人工ワンド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/03 06:35 UTC 版)
ワンドとは、主として治水や舟運のため流れに、そだ沈床と捨石によって構築され、流れに突きだされたT型の水制とそこに堆積した流砂によって形成される湾部である。ワンドは、静水域になっていることや本流に比べて水質が良好であることなどから魚類の棲息環境としては、良好な空間といえる。 主な魚類のワンド内に棲息する生物は、一般的に次のようなものである。 フナ・タイリクバラタナゴ、オイカワ.モツゴ - ワンド内の岸から中心部に及ぶ広い範囲を生活場所としている。 ニゴイ・スゴモロコ・ワタカ・ハスなど遊水魚やゼゼラ・ヨシノボリ・スジシマドジョウ・カマツカなど底性魚 - 岸に近い部分だけを生活場所とし、中心部はあまり利用しない。 コクレン・ハクレン - ワンドの中央部のみを生活場所とする。 このような魚類の棲息環境としてのワンドを保全することは、自然保護の面からも重要であり、人工ワンドの造成が必要となる場合がある。 ワンドは、豊富な魚類が棲息し、住みわけ、食いわけ、産みわけを可能にする多様性があり、人工ワンド造成に当たっては、こうした多様な環境をいかにつくりだすかがポイントとなる。そのために、広さ、水深、水際部、底質などの内容についての配慮が必要となる。 人工ワンドの代表的な事例は、淀川にみられる。淀川に棲息する魚類は、約50種にのぼり、そのうち約半数の種類は、ワンドにのみ棲息し、また、稚魚が多いといわれている。また、天然記念物に指定されているイタセンバラも棲息している。 こうした魚類の棲息環境保全のため、連続ブロックと自然石空積によって、ワンド護岸を整備しており、治水上の安全性を確保しながら、ワンドの保全が図られている。 ワンド護岸は、透水性のある構造をもつ。
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