交響曲第4番 (モートン・グールド)とは? わかりやすく解説

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交響曲第4番 (モートン・グールド)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/15 06:16 UTC 版)

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交響曲第4番「ウエスト・ポイント」Symphony for Band)は、モートン・グールドが作曲した吹奏楽のための交響曲。スコアの題名は「バンドのための交響曲」とのみ記されているが、「ウエスト・ポイント交響曲」(West Point Symphony)の愛称でも呼ばれる。グールドによる吹奏楽のための交響曲は、他に"Centennial Symphony"(1983年)がある。

作品

アメリカ陸軍士官学校(ウエスト・ポイント)のフランシス・レスタ大尉(Capt. Francis E. Resta)から、同校の150周年を記念して委嘱を受け、1952年4月13日に作曲者の指揮で初演された。同じ機会のため他に、ダリウス・ミヨーの「ウエスト・ポイント組曲」(West Point Suite, Op.313)やロイ・ハリスの交響曲「ウエスト・ポイント」などが書かれている。

グールドの吹奏楽作品における[1]代表作の一つであり、吹奏楽のためのレパートリーが発展途上だった作曲当時にあって、パウル・ヒンデミット交響曲変ロ調ヴィンセント・パーシケッティ交響曲第6番などと並ぶ、比較的早く書かれた大作に数えられる[2]。書籍『吹奏楽演奏を通した音楽教育』(Teaching Music through Performance in Band)は、「旋律の創意、機知に富んだ展開、コンセプチュアルな視点、作曲上の技量は、この作品を吹奏楽のための大規模な作品の第一級に位置付けている」と述べている[2]

楽器編成

編成表
木管 金管
Fl. 2, Picc. Crnt. 3, Tp. 3 Cb.
Ob. 2, C.A. Hr. 4 Timp.
Fg. 2 Tbn. 4 シロフォングロッケンシュピールチューブラーベル小太鼓2、大太鼓シンバル(クラッシュ、サスペンデッド)、マーチングマシン英語版[3]
Cl. 3, E♭, Alto, Bass Eup.
Sax. Alt. 2 Ten. 1 Bar. 1 Tub.

構成

全2楽章からなり、演奏時間は約20分。

  • 第1楽章 墓碑銘(Epitaphs)

グールドはこの楽章を「抒情的でドラマティック」「全体的な性格は悲しげなもの」と形容している[4]。木管楽器のゆるやかな旋律で始まり、ここで示される動機が作品全体で用いられる[2]。後半では行進風の規則的なリズムに乗って、チューバの提示する主題によるパッサカリアが展開する[3]

  • 第2楽章 行進曲(Marches)

グールドは「たくましく、陽気な性格」と形容する[4]。さまざまな表情を与えられた行進曲が次々と登場しては通りすぎてゆき[2]、終盤ではウエスト・ポイントの鼓笛隊(Fife and Drum Corps)を模した楽想や、第1楽章の旋律の再現が現れ、軍隊ラッパ(martial fanfares and flourishes)の響く急速なコーダで終結する[5]

注釈

  1. ^ グールドは1930年代末にミシガン大学バンドの演奏を耳にして「我々がすばらしい音楽製造機(music-making machine)を手にしていると気づいた」と話しており、その後「バラード」「サンタ・フェ・サガ」「ジェリコ」など多くの作品を吹奏楽のために提供している。Teaching Music through Performance in Band, Volume 3. GIA Publications, 2000. p.297
  2. ^ a b c d Teaching Music through Performance in Band, Volume 1. GIA Publications, 1996. pp.469-475
  3. ^ a b マイケル・J・コルバーン英語版は、この作品の初演のためグールドがマーチングマシンを考案し、作成させたと述べている。note (PDF) for "The President's Own" United States Marine Band, Col. Michael J. Colburn "Morton Gould: An American Salute" (Col. Michael J. Colburn, 2012) p.19.
  4. ^ a b note (PDF) for University of Kansas Wind Ensemble, Scott Weiss "Morton Gould: Derivations" (Scott Weiss, 2011) p.4
  5. ^ Colburn, p.20.

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