交差リブヴォールト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 09:27 UTC 版)
ゴシック建築の技術的な特徴は、11世紀に導入された尖頭アーチ、およびこれを構成する交差リブヴォールトである。ロマネスク建築において用いられた交差ヴォールトは、壁のうち四支点に荷重を架ける構造になっている。この場合、構造を安定させるためには、そのベイを正方形にしなければならなかった。長方形平面にヴォールトを架ける場合、各辺上と対角線上のヴォールトは、それぞれ異なった半径を持ち、かつ対角線上にあるヴォールトは、かなりつぶれたものにならなければならない。これは構造上たいへん危険である。 ゴシック建築では、ベイに架けるアーチを尖頭型にすることによって、水平方向にはたらく荷重を軽減し、長方形のベイに対しては、単に角度の異なったアーチを架ければよいだけになった。また、これによって非常に高いヴォールトを架けることが可能になり、その高さは、ラン大聖堂で24m、パリのノートル・ダム大聖堂で35m、シャルトル大聖堂36.55m、ランス大聖堂37.95m、アミアン大聖堂では42.3mである。 アーチに付加されているリブは、ヴォールトを造営の際に重要な役割を果たしている。建設では、まずベイに対して横断アーチとリブが架けられるが、これは簡素な仮枠による支持で済む。天井面(セル)の造成は、すでに造られたリブに仮枠を取り付けて塗り込むだけなので、非常に経済的である。 この工法では、あたかもリブとセルが独立しているように考えられるため、19世紀のゴシック・リヴァイヴァルの際には、ヴィオレ・ル・デュクがリブを独立した構造体とみなし、ゴシック建築を構造露出型の正直な建築であると評価した。ただし、戦時中に爆撃を受けたゴシック教会で、リブが破壊された場合でもセルが単独で持ちこたえていた例があるため、今日では、リブは構造的な解決策というよりも、むしろ天井を軽く見せるという意匠的な意図のほうが重要であると考えられている。
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