二重の命名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/19 05:44 UTC 版)
リトアニア語では「ネリス」、スラブ語では「ヴィリヤ」と呼ばれる。地名学でとらえると、首都ヴィリニュスにおいてさえ両言語のなごりが見つかる。例を挙げると、川沿いの町パネレイ(リトアニア語版)(Paneriai)やパネリシュケス(リトアニア語版)(Paneriškės)の地名はリトアニア語で「ネリス川沿い」を意味し、またヴィリニュス市内のネリス川沿いの地名ヴァラカンペイ(リトアニア語版)(Valakampiai)はリトアニア語で「ヴィリヤの角」を意味するとされる。また、ネリス河畔のカウナスの一部はヴィリヤンポレ(英語版)(ヴィリヤ + ポリス = 「ヴィリヤ河畔のポリス」)と呼ばれる。 ネリスという名前はおそらく最古の名称で、ヴィリヤという名前は二次的な位置付けと示唆される。この二重の命名の分岐点を調べると、スラブ語圏とバルト海地域の歴史的な境界地帯ではないかと考えられ、現象としてリトアニア語話者とバルト諸語話者は自分たちの民族語でそれぞれの川を源流から合流点まで呼んでいる。ネリス川の名前の由来はその支流の古名とされ、現在の名称をナラチ川(ベラルーシ語版)といい、水源は同名のナラチ湖(ベラルーシ語版)である。さらにヴィリヤ川は、合流点より上流でネリスと呼ばれた記録が一度もない点も証左となる。したがって古代バルト人は実際、ナラチ川をネリス川の上流と見なしたという説が出ている。
※この「二重の命名」の解説は、「ネリス川」の解説の一部です。
「二重の命名」を含む「ネリス川」の記事については、「ネリス川」の概要を参照ください。
- 二重の命名のページへのリンク