事物の操作行動認知
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 22:22 UTC 版)
「先天盲からの回復」の記事における「事物の操作行動認知」の解説
例えば急須でお茶を注ぐといった「事物を操作する行動」は動作だけ見ても意図が理解しにくく、事物(お茶を注ぐ場合では“急須”)を認知することではじめて動作の意図がわかるため、動作と事物の両方を認知しなくてはならず、難易度が一段階高いといえる。鳥居たちが設定した課題は、 手でカップを口に運びコーヒーを飲む 鉛筆で紙に何かを書く などの動作を実験者が行うのを観察し「何をしているか」答えるものであった。対象に事物が含まれているため対象との距離は数メートルといった距離ではなく30cmから始められた。被験者は初回の実験では「何かを飲んでいる」という報告に留まった。10ヵ月後の実験は、静止した場面と動作過程を見せるものとに分けておこなわれた。動作を伴った時(動作随伴条件)の正答率は75%に上がったが、静止条件では「全く分からない」という結果だった。8年半後に行われた実験では、30~50cmで正答率はむしろやや下がっていた(64~71%)。ただし観察距離を80~110cmまで離しても71.4%を示し、静止条件でも68%の正答率を示した。また、動作の意味(動作目的)の察知は、事物が認識可能な距離と連動していることが明白に示された(下表)。 紙をハサミで切る動作の認知実験 距離80cm 手で何かをしている 〃 50cm 手に何かを持っている. 何であるかは手に隠れてわからない 〃 30cm ハサミで何かを切っている (ハサミの認知が「切る」という連想を導き、動作の意味理解へ結びついている)
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