中出マチエール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 01:32 UTC 版)
1966年ブラジルに渡った中出那智子は、油絵を描く時に独特のタッチ(マチエール・技法)を生み出すある道具と出会った。サンパウロの田舎で、家の壁を塗るのに使われていた「刷毛筆」と「砂」である。このマチエールを用いて描かれた最初の油絵作品が「牛と少女」。ブラジルの明るい太陽を象徴するかのように、コントラストの効いた力強い色調。また、その厚塗りは完成までに七度も漆が塗られる「輪島塗」を彷彿とさせるものだった。以降、本マチエールは、中出那智子独特のマチエール、油絵技法として定着した。 中出那智子はマチエール構築について以下のように語っている。「サンパウロの大地や太陽や人々に負けないためにも、私なりにひらめいて或る方法を用いた。それはブラジルのレンガ造りの家の職人達が、最後に仕上げで壁を塗る時、白いペンキの中に「砂のようなもの」を入れるのを見て、これをやろうと試みたのだった。それが見事的中して、重厚で温度を感じさせるようなマチエールとなり、見る人の心を満足させた。このマチエールの大切さに気付いた私は、まさにこの成果で幸運な画家となったのである。」
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