与えられた位数を持つ群の個数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/11 18:25 UTC 版)
「有限群」の記事における「与えられた位数を持つ群の個数」の解説
ある正の整数nが与えられたとき、位数 n の群が(同型なものを1つと数えて)何個存在するかを決定するのに決まったやり方は存在しない。位数が素数 p である群は巡回群である:これはラグランジュの定理からわかるように、単位元でない任意の元は位数が p であるので、それによって生成される巡回群はそれ自身に一致するためである。n が素数の2乗である場合には、位数 n の群は同型を除いてちょうど2種類存在するが、どちらもアーベル群である。n が素数の高い冪の場合は、ヒグマン(英語版)やチャールズ・シムズ(英語版)が位数 n の群の(同型を除いた)個数について、漸近的に正しい概算をしている。冪が高くなるにつれて個数は爆発的に増加する。 例えばシローの定理などの結果から、位数 n の群の構造には n の素因数分解に依存してある制限が加わる。例えば素数 p , q に対して、 q < p かつ p -1が q で割り切れない場合は、位数 pq の群は必ず巡回群となる。必要十分条件については巡回数 (群論)(英語版)を参照されたい。 n に平方因子が存在しない場合、位数 n の群はすべて可解である。群の指標の理論(英語版)を用いて証明されたウィリアム・バーンサイド(英語版)の定理によれば、n が2個以下の素因数でのみ割り切れるのであれば、位数 n の群はすべて可解である。 ファイト-トンプソンの定理(英語版)という、証明が長く複雑な定理によると、n が奇数ならば位数 n の群は可解である。 任意の正の整数 n について、位数 n の群のほとんどは可解群である。特定の位数 n についてこの事実を確認することはそれほど困難なことではない(例えば位数60の群には、同型を除いて非可解なものが1個、可解なものが12個存在する)。しかし、任意の位数 n についてこの事実を証明するには有限単純群の分類を要する。任意の正の整数 n に対して位数 n の単純群は最大でも2種類しか存在せず、位数 n の同型でない単純群が2種類存在するような正の整数 n は無限に存在する。
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