不等式の定式化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/06/05 08:32 UTC 版)
X を滑らかな代数的閉体上で定義された極小な射影的な一般型曲面(もしくは、滑らかな極小なコンパクトな一般複素曲面)とし、標準因子 K = −c1(X) とし、pg = h0(K) を正則 2-形式の空間の次元とすると、 p g ≤ 1 2 c 1 ( X ) 2 + 2 {\displaystyle p_{g}\leq {\frac {1}{2}}c_{1}(X)^{2}+2} が成り立つ。 複素曲面に対して、別の公式化は基礎となっている向き付けされた実 4次元多様体の位相不変量の項でこの不等式を表している。一般型曲面はケーラー曲面であるので、第二コホモロジーの交叉形式の最も大きい正の部分空間の次元は b+ = 1 + 2pg で与えられる。加えて、ヒルツェブルフの符号定理により、c12 (X) = 2e + 3σ であり、ここに e = c2(X) はトポロジカルなオイラー標数であり、σ = b+ − b− は交叉形式の符号である。従って、ネターの不等式は b + ≤ 2 e + 3 σ + 5 {\displaystyle b_{+}\leq 2e+3\sigma +5} b − + 4 b 1 ≤ 4 b + + 9 {\displaystyle b_{-}+4b_{1}\leq 4b_{+}+9} と表すこともできる。 ネター公式 12χ=c12+c2 とネターの不等式を組み合わせると、 5 c 1 ( X ) 2 − c 2 ( X ) + 36 ≥ 12 q {\displaystyle 5c_{1}(X)^{2}-c_{2}(X)+36\geq 12q} 5 c 1 ( X ) 2 − c 2 ( X ) + 36 ≥ 0 ( c 1 2 ( X ) even ) {\displaystyle 5c_{1}(X)^{2}-c_{2}(X)+36\geq 0\quad (c_{1}^{2}(X){\text{ even}})} 5 c 1 ( X ) 2 − c 2 ( X ) + 30 ≥ 0 ( c 1 2 ( X ) odd ) . {\displaystyle 5c_{1}(X)^{2}-c_{2}(X)+30\geq 0\quad (c_{1}^{2}(X){\text{ odd}}).} 等号が保たれるような曲面(つまり、ネター直線上は)は堀川曲面と呼ばれる。
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