不当利得の一般的要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 02:23 UTC 版)
他人の財産または労務により利益を受けること(受益)受益とは財貨の給付を受けることを意味する。積極的利益(他者の行為により財産が増加した場合)のみならず消極的利益(他者の行為により本来であれば減少したはずの財産が減少しなかった場合)をも含む。受益の方法に特段の制限はない。 他人に損失を及ぼしたこと(損失)損失とは他人による財貨の給付を意味する。積極的損失(財産が減少した場合)のみならず消極的損失(本来であれば増加したはずの財産が増加しなかった場合)をも含む。 受益と損失の両者に因果関係があること因果関係をめぐっては、直接的なものに限るとする直接的因果関係説、社会観念上のもので足りるとする社会観念的因果関係説(通説)、因果関係は要件としては実質的な機能をもたないとみる因果関係緩和説が対立している。判例は直接的因果関係説をとっているが(大判大8・10・20民録25輯1890頁)、社会観念的因果関係説をとったとみられる判例も登場している(最判昭49・9・26民集28巻6号1243頁)。なお、因果関係に関わる問題として後述の転用物訴権や騙取金弁済の問題がある。 利得について法律上の原因がないこと判例によれば正義公平の観念上において正当とされる原因を指す(大判昭11・1・7民集15巻101頁)。不当利得の判断において最も重要とされ中心的位置を占める要件である。
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