三年鳴かず飛ばず
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:01 UTC 版)
父の桓公の後を継いで、即位したばかりの威王は 隠を喜び、好んで淫楽長夜の飲を為す。沈湎(酒におぼれること)して治めず、政を卿大夫に委せ、百官荒乱し、諸侯並び浸し、国且に危亡せんとすること、旦暮に在り。左右、敢えて諫むる莫し。 と記されていた。隠とは『隠語』のことで、謎かけが好きな威王は、側近とも謎かけで語っていた。しかし、自分の出した謎が早く解けると機嫌が悪くて首が飛ぶかもしれず、側近たちは苦労した。そのころ、三晋(韓、魏、趙)は斉を侵略し、攻撃していた。この侵攻に、斉は手も足も出なかった。そんな状態が九年続き、斉は各国から見くびられていた。そのような状態の中、淳于髠は、威王に謁見し謎かけを使い、「わが国に大きな鳥がいます。王宮の庭に止まって、三年のあいだ、飛ばず、鳴かずです。王様、これが何という鳥かご存知ですか?」と言った。これに対して威王は、 此の鳥、飛ばずば即ち已まん。一たび飛ばば天に沖せん。鳴かずば即ち已まん。一たび鳴かば人を驚かさん。 と答えた。「この鳥は、飛ばなければ飛ばぬままだけれど、一度飛べば天へ飛躍するだろう、この鳥は、鳴かなければ鳴かぬままだけれど、一度鳴けば人を驚かすだろう」、という意味である。 その後、淳于髠は威王に仕えた。名君として振る舞った威王は斉の国中に県の長官72人を召集して、業績のあった一人を賞し、業績のなかった一人を罰した。そして、兵を整えて猛然と出撃した、三晋などの各国の君主は驚愕して、斉から奪った土地を返した。以降から威王の威光による治世は36年に及んだ。
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