一次的爆傷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 09:30 UTC 版)
急激な気圧の変化による損傷。爆発による爆風の強さは爆心からの距離の2乗に反比例するため、爆発物の極めて近くにいた人にしか生じないが、閉鎖空間における爆発はその限りでない。これは、入射波と反射波が合わさる融合波面では圧力が2倍近くにまで高まるためであり、密室では複数の融合波面が形成され圧力が3倍以上にまで高まることもあるためである。 一次的爆傷を受けた人間は、外傷性鼓膜穿孔を起こしていることが特徴である。このような被災者は緊張性気胸や血気胸を起こす恐れが高く、後に肺挫傷、急性呼吸窮迫症候群、肺水腫、空気塞栓などの疾患も起こし易い。他に結腸などの空気を含む臓器、或いは眼底出血によって視力を失っている場合や重傷の場合には眼球が破裂することがある。 爆発事案の際にはいち早く爆心地を同定し、そこからの個々の被災者の距離を確かめ、さらに鼓膜損傷の有無を見ることで、肺損傷や空気塞栓の危険を見極めなければならない。 入射爆風の過圧が低い場合でも目と耳が真っ先に損傷を受けるため、致命的な臓器損傷が無くても被災者が視力と聴覚を同時に失っている場合があり、軽症の被災者がパニックに陥るなどして処置が困難になることがある。
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