一次構造の修飾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 07:25 UTC 版)
上述した様々な修飾に加えて、一次構造に対する最も重要な修飾はペプチドの切断である。タンパク質は不活性の状態で合成されることがあるが、N末端やC末端によって活性中心がブロックされていることが多い。不必要なペプチドを切り落とすことで機能が発現する。 セリン(まれにトレオニンも)の水酸基やシステインのチオール基が、上流のペプチド結合のカルボニル炭素を攻撃して四配位の中間体を作るように、ある種のタンパク質は自分自身を切断することができる。中間体は安定なアミド基に開裂するが、分子間相互作用のため不安定になり、ペプチド結合の代わりにセリン、トレオニンとのエステル結合やシステインとのチオエステル結合を作る。この化学反応はN-Oアシル転移と呼ばれている。 ここで生じたエステル結合、チオエステル結合は次のような方法で解消される。加水分解され、アミノ基が新たなN末端になる。グリコシルアスパラギナーゼの成熟の時などに見られる。β脱離が起こり、新しいN末端にピルボイル基が生じる。Sアデノシルメチオニンデカルボキシラーゼのような酵素の補酵素を共有結合する際に使われる。分子内エステル交換が起こり、分岐ポリペプチドが生じる。インテインにおいては、新しいエステル結合はC末端のアスパラギンによってすぐに壊される。分子間エステル交換が起こり、ポリペプチド全体が変換される。ヘッジホッグタンパク質の自動プロセッシングの際に起こる。
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