一時的な衛星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 08:27 UTC 版)
一時的にせよ地球の周回軌道に入った自然物、すなわち一時的にであるが地球の自然衛星となった物体の観測例は過去に2例存在する。それは、直径3mから6mの小惑星 2006 RH120 と、直径約1 mから1.5 mと推測される小惑星 2020 CD3である。 2006 RH120 はアテン群に属する地球近傍小惑星の1つである。その太陽公転軌道の要素は地球のそれと酷似し、その結果公転運動中に低い相対速度で地球へと接近することとなる。その際にしばしば地球の重力に捕らわれ、地球周辺を数周するのである。2014年現在において観測・記録されているのは、2006年11月から2007年9月までの間に地球に接近した際のもので、このとき 2006 RH120 は地球の周辺を3周している。次回は2028年に地球へと接近し、再び一時的な衛星となる可能性がある。 詳細は「2006 RH120」を参照 2020年2月末に2020 CD3が3年ほど前より地球衛星軌道に乗っていることが報道された。この天体は微小な地球近傍小惑星の1つであり、アリゾナ大学のカタリナ・スカイサーベイにより発見された。2006 RH120以来2度目の地球の自然衛星となった物体の観測例となった。軌道は不安定で、2020年春頃に地球軌道を離れた。 詳細は「2020 CD3」を参照 なお、一時的な地球の衛星となった天体として、上記以外にもいくつか発見されているが、いずれも人工天体の可能性が高い。J002E3 は後の観測で天然の天体ではなく人工物であることが確認されており、6Q0B44E も人工物である可能性が非常に高いとされている。2020年9月17日に発見された2020 SOは2020年11月から2021年5月ごろまで地球を周回する見込みだが、軌道の特徴から人工天体の可能性が高いと見られる。 シミュレーションによれば、このような地球の一時的な衛星は常時50個ほど存在するとされている。しかし、それらは直径が50cmと、2006 RH120 のさらに10分の1程度の微小なサイズと想定されているため、存在するとしても実際の観測は難しく、2020年の2020 CD3発見までそのような天体は 2006 RH120 以外未発見・未観測であった。 詳細は「J002E3」および「6Q0B44E」を参照
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