ワルターの楽器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 00:41 UTC 版)
「アントン・ワルター」の記事における「ワルターの楽器」の解説
ワルターが皇帝ヨーゼフ2世に宛てた依頼書(正規の楽器製造者としての許可を得るための嘆願書)によると、1770年代から1790年にかけて、グランド型のピアノ、スクエア・ピアノ、オルガン等の鍵盤楽器をワルターは300以上も製作している。今世紀まで現存しているのはほとんどがフォルテピアノかスクエア・ピアノである。 ワルターの現存しているピアノのなかで、特に有名なものがモーツァルトが購入した1台であるが、このピアノには製造業者としてのワルターの銘板がなく、ワルターがウィーンに拠点を置いてまもなく、まだ正式な楽器製造業者としての資格がないまま製造されたワルターの初期のピアノと推察されている。 この楽器はモーツァルトの死後、未亡人のコンスタンツェから息子のカール・トーマスに相続されたが、現在はザルツブルクのモーツァルテウム財団の所有となっており、モーツァルトの生家(記念博物館になっている)に展示されている。 また、フランツ・シューベルトが友人の画家リーダー(Rieder)に下宿していた頃、友人の所有するスクエア・ピアノを借用していた。この楽器はワルターの1800年以降に作られたもので、リーダーはシューベルトの死後、このピアノを売りに出した。一時期、ベーゼンドルファー(Rudwig Bösen-dorfer)が所有していたが、現在はウィーンの芸術歴史博物館に所在がある。 ワルターのフォルテピアノは、フィリップ・ベルト、ロドニー・レジエ、ポール・マクナルティ、クリストファー・クラーク他の、現代のフォルテピアノ製作者の楽器のモデルに頻繁に用いられている。
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