ロバートソン転座
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 15:25 UTC 版)
ロバートソン転座(英語版)は、アクロセントリック染色体のセントロメアやその近傍での切断によって生じる転座のタイプである。断片の相互交換によって、1つの大きなメタセントリック染色体と1つのきわめて小さな染色体が生じる。小さな染色体にはほとんど遺伝子が含まれないため、個体にほとんど影響を与えることなく失われる可能性がある。その結果、ヒトでは核型は45本の染色体しか存在しなくなる。アクロセントリック染色体の短腕に位置するわずかな遺伝子は全てのアクロセントリック染色体で共通であり、またさまざまなコピー数で存在する遺伝子である(核小体形成域)ため、表現型に直接的な影響は生じない。 ロバートソン転座はアクロセントリック染色体のすべての組み合わせで観察されている。ヒトで最も一般的な転座は13番染色体と14番染色体間の転座で、1000出生あたり約0.97人の割合で生じる。ロバートソン転座の保因者にはいかなる表現型の異常もみられないが、流産や子孫の異常につながる非平衡型配偶子を形成するリスクがある。例えば、21番染色体が関与するロバートソン転座の保因者は、ダウン症候群の子供を産むリスクが高い。こうしたダウン症は転座型として知られており、配偶子形成の際の染色体不分離(英語版)が原因である。父親(1%)よりも母親(10%)から受け継がれるリスクが高い。また14番染色体が関与するロバートソン転座には、トリソミーレスキュー(英語版)による14番染色体片親性ダイソミー(英語版)のリスクがわずかに存在する。
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