レバノン軍団とは? わかりやすく解説

レバノン軍団

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 14:26 UTC 版)

レバノン軍団
القوات اللبنانية
Forces libanaises
党首 サミール・ジャアジャア英語版
創立者 バシール・ジェマイエル英語版
創立 1974年 (50年前) (1974)
本部所在地 山岳レバノン県ケセルワン区マーラブ
政治的思想 キリスト教ナショナリズム
国民保守主義
自由保守主義
レバノン民族主義
政治的立場 中道右派
宗教 キリスト教マロン派
国内連携 3月14日同盟英語版
国際連携 国際民主同盟
国民議会
8 / 128
公式サイト
www.lebanese-forces.com

レバノン軍団(レバノンぐんだん Lebanese Forces:LF)は、レバノンにおけるキリスト教マロン派民兵組織・右派政党である。

概要

レバノン内戦中の1976年9月に、ファランヘ党創設者ピエール・ジェマイエル英語版の次男で、有力な若手指導者であったバシール・ジェマイエル英語版により、同党の青年部隊や、党との権力闘争に敗れた国民解放党英語版の民兵組織「タイガース・ミリシア英語版」、マロン派の武装部隊(若手の神父や修道士らが参加)、さらには「杉の守護者たち英語版」等の中小のキリスト教系民兵組織を合同させて成立した。

1976年5月以来内戦に介入するシリアにファランヘ党は反発する姿勢を示し、フェニキア主義を主張したが、反シリア・反PLO・親イスラエルの急先鋒であったバシールはマロン派の若者層にカリスマ的人気があり、次第に党指導部との意見が相違し始めたため分派した。その立場からイスラエルとも強いつながりを持っており、同国は軍事顧問を派遣するなど強力に支援した。1982年のイスラエルによるレバノン侵攻作戦英語版では、レバノン軍団は自由レバノン軍などと共にイスラエル国防軍の補助部隊としての役割を担った。内戦では同じキリスト教のアッシリア人民族主義を掲げるシュラーヤ党英語版ダシナク党とも連携していた[1]

しかし、1983年9月に大統領当選直後にバシールがLF本部にて演説中、仕掛けられた爆弾により就任前に暗殺されると、有力な指導者を欠くようになり、幹部であるエリー・ホベイカ英語版らが率いる部隊によって、報復としてパレスチナ難民キャンプでの虐殺事件(サブラー・シャティーラ事件)が発生する。組織自体も国軍と共に参加した「山岳戦争英語版」で大きな損失を蒙った。ホベイカは後に親シリアとなり、組織内で地位を向上させていくが、バシールの後継者であるサミール・ジャアジャア英語版と反目するようになり、LFは分裂状態に陥る。結果としてホベイカの追放に成功するが、組織は弱体化。1989年には一時は同盟を組んでいたミシェル・アウン大将率いる国軍と衝突し、損耗を深めた。1990年に内戦がシリアの制圧によって終結すると、ジャアジャアはLFを政党化するが、1994年に教会爆破事件に関わった疑いで逮捕・収監され、LF自体も非合法化された。

2005年のラフィーク・ハリーリー元首相暗殺に伴って発生した杉の革命で、シリア軍がレバノンから撤退すると、ジャアジャアは釈放され、党首として復帰した[2][3][4]。現在は、ファランヘ党などと共に反シリア・イラン派の野党連合「3月14日連合」の一角を占めている。

脚注


レバノン軍団

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 06:33 UTC 版)

レバノン内戦」の記事における「レバノン軍団」の解説

シリア反目しLF一時こそ武装解除され政党化したが、1990年代前半発生した爆弾テロ事件首謀者としてジャアジャア逮捕されると、レバノン政府によって非合法化されてしまった。これによってマロン派有力な政治指導者は親シリア一部政治家除いてほぼ消滅したといわれるフランス亡命したアウン同国中心にシリア軍撤退と親シリア体制解体目指して、欧米マロン派移民結集して運動行っていたが、アウン帰国事実上不可能だった当時国内影響力はほとんど無かったという。シリア寝返ったホベイカは、2002年何者かによって自家用車仕掛けられ爆弾によって殺害された。ホベイカは、サブラ・シャティーラ事件解明しようとした国際司法裁判所における法廷証人として出席する直前であったこのため同事件の真相は闇に葬られる結果となったという。

※この「レバノン軍団」の解説は、「レバノン内戦」の解説の一部です。
「レバノン軍団」を含む「レバノン内戦」の記事については、「レバノン内戦」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「レバノン軍団」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「レバノン軍団」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「レバノン軍団」の関連用語

レバノン軍団のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



レバノン軍団のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのレバノン軍団 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのレバノン内戦 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS