レジン配合グラスアイオノマーセメント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 15:22 UTC 版)
「保存修復学」の記事における「レジン配合グラスアイオノマーセメント」の解説
グラスアイオノマーセメントの酸・塩基成分にレジンの重合成分を配合して混成型(ハイプリッド)としたものである。これは、修復用のハイブリッド型グラスアイオノマーセメントではレジン成分の重合に光硬化方式を採用しているのに対し、化学重合方式を採用している点で異なっている。 組成と硬化反応 粉末はフルオロアルミノシリケートガラスの粉砕粒子であり、その成分は従来と同様である。液はポリカルボン酸にレジンモノマーHEMA(2‐hydroxyethyl methacrylate)が添加された水溶液で、少量の酒石酸も含まれている。なおポリカルボン酸の側鎖にメタクリロキシ基を結合し架橋を強化した製品もある。粉と液を練和すると先ずレジン成分については配合されている酸化還元触媒によりHEMAやカルボン酸ポリマー中に組み込まれているメタクリロキシ基が化学重合反応を起こす。一方、グラスアイオノマー成分については本セメントに特有の酸・塩基反応が起こる。両者の反応の加算によりセメントの硬化が進行する。 材料学的性質 練和泥の相度は低く、被膜厚さも10μm台である。硬化反応は速く、操作余裕時間は2分30秒以内で、その後は急速に硬化が進行する。圧縮強さや引張り強さは従来型グラスアイオノマーセメントと同程度である。一方、材料のねばり強さを表す破壊靱性値は従来型のものに比べて2倍の値が得られるとされている。練和セメント泥のpH値は約3.5と、従来のものと比べてやや中性に近いようである。本セメントは歯質や金属に対して接着性を示す。牛歯を用いた剪断接着試験ではエナメル質に対しては8.9MPaで、象牙質に対しては4.3MPaと、従来のグラスアイオノマーセメントやカルボキシレートセメントと同等であると公表されている。一方、クエン酸・塩化第2鉄による歯面処理を採用している製品についての試験ではエナメル質に対しては約18MPa、象牙質に対しては約11MPaの勢断接着強さが得られたと報告されている。
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